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2006年3月29日 (水)

小指を器用に使う男

それは目の前にいた。

仕事のことで頭がいっぱいだった僕の目に、不意に飛び込んできた。

「一心不乱に食っている」という表現がぴったり当てはまるほどの、食いっぷり。



電車の中で考えごとをしていて、降りる駅まであと何駅あるかなと、電車内の上の方についている、駅名表示のポスターを見ようとした時だった。


鼻くそを食っている。
若い男が、鼻を小指でほじくり、その指を口に運んでいる。


鼻をほじるのはいいけど、さすがに食べるのは公衆の面前でどうなのかと(ほじるのもまずいか)思う僕をよそに、彼は片手に携帯、もう片手の小指で鼻と口の往復をしている。


すげえな。いるんだな。


イタリアの有名サッカーチームのジャンバーに、下は黒のスウェットを履いている。見た目はさほど汚さは感じなく普通なのだ。ただ彼は携帯の画面をじっと見つめ、その行為を



繰り返しているのだ。



声高に言おう。



繰り返しているのだ。永遠に。




もう、ほじくるものもないくらいだろうに、僕が見ている間、永遠、鼻をほじくり、その掘った指を口に運ぶを繰り返す。


僕も気にしないようにしていたいが、あまりの堂々っぷりと、終わりの見えないその行為に唖然として見入ってしまった。






彼は何故そこまでして、鼻に口にその指を運ぶのか。
癖なのか。
その行為が好きなのか。


それは親に教えてもらったことなのか。
親から咎められた反抗なのか。


ここは彼にとって公衆なのか。
プライベートなのか。


小指以外の指は使うのか。
親指は使わないのか。






それはわからない。






鼻くそを食う男。


いや、永遠に食う男の話。

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