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2006年3月26日 (日)

反抗と愛情 『イタトマ初めて物語家族篇』第二話

彼は音楽を聴いていた。



家族4人で、イタトマに入店。

何のケーキを頼もうか他の3人が考えている中、彼はトイレへと入っていった。

その耳にはイヤホンが。



母親は慌てて、彼の元へと駆け出す。

「何を食べるの?」

彼はなんと答えたのであろうか。

ドア越しでわからない。




家族と一緒にいるのに、

しかも、外へ一緒に出かけてきているのに、

彼は音楽を聴いていた。

一家団欒を拒むように、

自分の世界に入っていた。




見たところ、彼は中学生。

家族というカテゴリーに反抗したくなる年頃だ。






僕もそうだった。

母親と一緒にいることが、恥ずかしくてしょうがなかった。

一挙手一投足が気になってしかたなかった。






彼を見て、そんな昔が投影され、

「わかるなあ」

と、彼の動きをしばらく追った。




4人で隣のテーブルに着き、

4人で全く違う種類の飲み物とケーキを食べ始めた。

彼も音楽を聴くのをやめ、ケーキを食べるのに集中した。






今、僕は一人で暮らし、実家に戻るのは年に数回しかない。

両親に会うことも少なくなり、家族が全員揃うことは、盆と正月しかない。

一人で暮らすようになり、母親の大変さ、父親の苦労、少しだが実感できるようになってきた。

絶えず一緒にいた時、「感謝」なんていう言葉は、僕の脳裏にはよぎったことはあまりなかった。

どんなことにも口うるさく思え、反抗することしか頭になかった。






「家族」




彼は年を重ね、やがて大人になり、家族の元を離れる時がくるだろう。

その時に大いに思えばいい。

今日ここに集う、家族のありがたさを。




食べ終わり、彼は一人店から出て行った。

母親からの言葉を聞かずに。




「反抗」


愛情の裏返しである。

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コメント

わかるなぁ~。
わたしも、反抗してたし。
結婚する前まで(長いなぁ~)
今思うと、苦労してきたこともわかるし、
ほんと申し訳ないなぁ~なんて思うこともある。
 
でもね、絶対にありがとうって言葉は、言わない。
今でも、少し反抗してるのかもね。

投稿: YAKO | 2006年3月26日 (日) 12時35分

>YAKOさん

親は言わなくても、YAKOさんの気持ちはわかっているはずですよ。

でも、言ってもらったらもっとうれしいんだと思うけどね。

と言いながら、僕も両親と面と向かうと照れますが。

投稿: りょーちん | 2006年3月26日 (日) 12時56分

私自身はあまり経験ないのですが、塾講師や家庭教師していた時にこういう雰囲気、特に母と男の子の場合をよくみました。
今回も食事ならともかくケーキ食べるのに嫌そうならほっとけばいいのにって思うのですが、こういう場合の母親ってほんと親切過剰ですよね。
どこまでしても母親は見捨てないか試しているもかしら?高校受験とかで不安もあるのでしょうけれど。
男の子って甘ったれで寂しがりやで威張っていますよね(笑)
もっと、素直になればいいのにね。

投稿: 夕陽 | 2006年3月26日 (日) 15時32分

>夕陽さん

ほんとです。男の子は甘ったれで寂しがりやなのに、意地をはります。特に母親には。毛嫌いしているのに、結局は結婚相手には母親の影を追ってしまうのです。
どうしょうもない人種です。

投稿: りょーちん | 2006年3月26日 (日) 15時58分

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