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2006年3月22日 (水)

今しか生きられない人

今しか生きられない老人がいた。

過去はほとんど見えなく、
未来を考える力もない。
今しか見えなく、
今しか考える力はない。



ドキュメンタリー番組で、痴呆症の老人の方が特集で放送されていた。
おじいさんが病気にかかっていて、おばあさんが世話をしている夫婦の物語だった。


おじいさんには生きがいにしているものがある。
それは
『歌』。

昔歌ってきた歌だけは覚えていて、
おばあさんがそばにいて、
指先で歌詞を追ってあげると
歌うことができた。


僕の祖父と祖母は、
もう亡くなってしまったのだけど、
テレビのケースとは逆で、
祖母が痴呆症にかかってしまい、
祖父がそれをフォローする立場だった。
祖父はわからなくなっている祖母を変わらず
昔と変わらない不器用な愛情で包んでいた。




『歌える限り歌わせてあげたい』
仕事も辞め、
おじいさんに
付き添うことに専念し始める。


おじいさんは今あることしか感じられない。


でも何故か、
おじいさんを見ていると
幸せそうで、
暗い雰囲気を感じることはできない。


気持ち良さそうに歌を歌い、
観客の反応に素直に答え、
おばあさんの愚痴に顔を変えて反応する。


失礼な言い方だと思うが、
痴呆症が進んでらっしゃっていて、
どこまで理解されて反応しているかはわからない。


しかし、
今ここに生きていて、
まさに今を生きていて、
存在している。
妻の前で、
観客の前で、
いろいろな人の前で。


僕らは、
過去も感じられ思い返すことができ、
未来も想像できる。
幸せなことだ。
しかし、
今に存在すること。
今があること。
これが何より素晴らしく、
幸せであることを、
今回のドキュメンタリーで大いに学んだ。
『今』大事にしたい。


おじいさんは今もどこかで歌っている。
おばあさんは付き添いおじいさんを支えてる。


どうぞお元気で。

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コメント

あ~それ見たかったんですよ。
感想ありがとうございます。

母親が一時期記憶を無くした事があって、
(今は支障ない生活を送っています)
ドキッとした時がありました。

「このまま痴呆症になって、
家族の事を忘れたらどうしよう」と
それはそれはリアルな想像でした。

悲しい事に、幾ら今まで仲良しで
愛情を注いできた相手にでも死ぬほど憎む
感情を持つ事があるのが痴呆症の怖さ。

病気とかどうしようもないとわかっていても、
辛い事です。

その経験から、いっそう今を、家族を、
人を大事にして想い出を作っていこうと思えました。
いい想い出が力になりますからね。

投稿: yuhki | 2006年3月22日 (水) 02時05分

>yuhkiさん

いい思い出が力・・・

そうですね。

今を大事にしていくことで、それが思い出になり、力になっていくんですね。

大事にしていこうと強く思いました。

投稿: りょーちん | 2006年3月22日 (水) 12時02分

りょーちん素敵☆ありがとう(はーと)

>気持ち良さそうに歌を歌い、
>観客の反応に素直に答え、
>おばあさんの愚痴に顔を変えて反応する。

なんかおじいさん、素直~に愛のかたまりみたい。
じーんときちゃった(うるうる)

今在る事、それが唯一大切なことなんだよね。
わたしたち、いろんなこと考えられる自由さあって忘れがちだけど☆
わたしも今ここに在り、愛そのものでありたいな♪
りょーちんありがと♪
らぶ(*^^*)(はーと)

投稿: よーこさん | 2006年3月23日 (木) 01時12分

>ようこさん

ようこちゃんの絵から、僕はいっぱいの愛をもらっています。
ようこちゃんは「愛」そのものですよ~。

「今あること」
今は今しかないので、大切にしなきゃだね。

投稿: りょーちん | 2006年3月23日 (木) 01時36分

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