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2006年4月10日 (月)

隣のおばあちゃんとの共同生活 vol.4

おばあちゃんの相談はその後も何度も続く。

「あの子は彼女いるのかしら」
という、確実にほっとけばいいのにという話から始まり、
「ひとりアパートを出て行きたいと言っている子がいるのだけど」
という切実な、僕にはどうしょうもない問題を持ち込まれるときもあった。






「出て行きたいって言ってるの」

おばあちゃんが干渉し過ぎです。
彼は独立したがっているのです。
僕に止める権利はありません。
僕もこの状況どうにかしたいです。


「そうなんですか。一人暮らしをしたいんじゃないですかね」

僕も一人暮らしのはずだったのに、なんだか、一人で暮らしていない気分です。


「もう、出て行くって言いに来たのね」

決断が早い。いいことだ。
うん。僕もできることなら出ていきたい。


「そうですか」

1年で出て行くぞ~。うん。出る。無理。出る。もう無理。
遠いし。大雪で帰れなくなったし。
雪ごときで家に帰れないってどういうことだ。
授業も遅れるし。
『バスが来なくて~』
こんな言い訳、もう嫌だ。
あまりにも長旅過ぎる。途中で嫌になる。
うう~。


「りょうちゃんだけが頼りだからね。親戚がいるって心強いわ」

あ、出た~。
この言葉に弱いのだ~。
おばあちゃんを一人置いていくなんて、なんかかわいそうだしな~。
遠すぎるくらい遠い血縁だけど、大学生も一人また一人と出て行ってしまう現状は、
ちょっと可愛そう。
と言っても、毎週おばあちゃんの悩み事相談じゃなあ。
『ここは診療室か』って。


「今日は外に食べに行こうか」

あれ?今日は中華丼じゃないの。


「着替えてくるから。あそこのうどん屋に行ったことある?」


「いえ」


「あそこしか行かないのだけどね」

家で食べるなら中華丼。外なら、うどんなのね。



おばあちゃん、洋服を着替えに母屋に帰る。



おばあちゃんは普段、ババシャツのままでいる。
もちろん、暖かい時期だけだが。
しかも、ブラジャーを着けない。
だから、まともにおばあちゃんの方を向けない。
胸のポッチが気になるからかい。
気になるというか、気にしたくないのだけど、向いたら目に入るし。
てことは、気にしているのか・・・・・。
うわ~ん。
そんな自分に、嫌になってしまう。
どうしたらいいんじゃい、一体。


「そしたら行こうか」

おばあちゃん、僕の家を覗きながら、普段着ていない格好で言った・・・・・。






それから、暫く経った次の年の3月。
僕は本当に1年でこの家を出ることになった。
ある事件で。




つづく

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