« 2006年8月 | トップページ | 2006年10月 »

2006年9月30日 (土)

ネオンが異様に瞬くバッティングセンター

先日、とある街のバッティングセンターに行った。





ぶらりと街を歩いていたら、ネオンが異様に光る、昔ながらのバッティングセンターを見つけた。
今まで行ったことがなかったからか興味本意からか、無性にひきつけられてしまい、店に入ることにした。




中に入ると、ガラス越しに球速ごとゲージで分かれている。
75キロの超スローボールから130キロの超スピードボールまで。

「さて、何キロがいいかな」

バッティングセンターは初めてだが、小学生の時は野球をやっていた杵柄がある。それと変なプライドも。
「130キロ?いや、打てないとそれも恥ずかしいからな」

真ん中の中速110キロにすることにした。




ゲージに入り、100円玉を3枚投入する。
起動するのか不安になるような、古ぼけたコイン投入機だった。

入れると、目の前のピッチングマシンに赤いライトが灯り、うごめく音が聞こえ始めた。

「ちょっと待って」
バットも握っておらず、構えてもいない。
慌てて財布をズボンのポケットにしまい、近くにあったバットを掴み、ホームベースの前でバットを構えた。




機械の腕が下から上にあがり、ボールが小さい網目から放たれる。
バットを振る。
当たる。
ボールはグランドで言えば、レフト方向へライナーで飛んでいった。
「うん。感は鈍っていない」

と、僕の安堵をよそに、次々とボールが飛んでくる。
一球一球の間の感覚が掴めず、空振りだったり、ボールが前へ飛ばなかったりを繰り返す。

「う~ん。こんなんじゃない」
コインを入れていきなりだったから、財布や携帯、手首に数珠をしたままバットを振っていた。
「本気を出すかぁ」
機械相手に負けられない思いと、こんなんじゃないという自分に対してのプライドが許されない思いが交差する。
スピードが速いのが理由じゃないのかという正論は置いとき、ボールが投げられてくるほんの短い間に、邪魔者達を地面に投げ捨て、身軽になって再度構えた。

「さあ、来い」




肩の力が抜け、本来(頭のイメージ)の打球が飛び始める。
「よーし、いい感じ。これから・・・・・」

案の定、ピッチングマシンの赤ランプは消え、ギクシャク動いていた機械は錆びた鉄くずのように動かなくなった。

「・・・・・、今日はこのくらいにしといてやろう」





ゲージを出ると、準備運動をしていなかったからか、首が痛い。

「思いっきりネジっていたもんなあ」
首をさする。
「それとも歳か・・・」

手のひらの匂いを嗅ぐ。
「ああ、懐かしい匂い」

遠い記憶を辿りながら、絶対また来ると、瞬きすぎるネオンに言いながら店を後にした。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006年9月27日 (水)

たった一瞬だが、雨粒を挟んで一つになった

雨降る夜

踏切前

傘を差し、踏切が開くのを待つ僕。





雨は時に弱くなり強くなったりしている。

「早く家に帰りたい」

開かない踏切を目力で促す。





すると、隣に原付のバイクが止まってきた。

見ると、レインコートを被った若い女性が乗っている。

こちらを見た彼女と一瞬目が合う。





「・・・・・・」





踏切が開く。

バイクはエンジン音と共に、あっという間に去っていってしまった。

僕も前を向いて歩き出す。





目が合ったあの時、二人の思いは一緒だった。

「お互い大変ですね」

たった一瞬だが、何か相通じたような気がした。





雨はまだ僕を傘を濡らしている。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2006年9月25日 (月)

長野では「リンゴがぼけてる」という

実家から荷物が届いた。




「お母さん、お米無くなったから送ってもらえる」
「はいよ。一緒に送ってもらいたいものあったら、後でメールしといて」


メールして送って欲しいと言ったものは、全部入っていた。




ダンボールの一番下に入っていたのはリンゴ。

「リンゴ入っていたでしょ」
「うん」
「メールに果物って書いてあったから、ナシにしようかと思ったんだけど、長野だしリンゴのがいいと思って」




早速、剥いて食べることにした。

「ん?」

剥いていて、なんか違和感を感じる。
中身に手ごたえを感じないのだ。いつもなら感じる手ごたえを。

「もしかして・・・・・」

皿に盛り付ける前に、味見した。

「ぼけてる(長野の方言で、りんごがスカスカの時に使う)・・・」




もったいないので、残さず全部食べた。





お母さん
どうやら、ナシのが正解だったみたい。

「リンゴ美味しかった?」
って聞かれても
「美味しかった」
ってことにしとくよ。

せっかく送ってくれたんだしね。
今度は美味しいリンゴを送ってくれよ。

| | コメント (12) | トラックバック (0)

2006年9月24日 (日)

女はやみくもにページをめくる

僕の目の前の席に座る、メガネをかけたキャリアウーマン風の若い女性。
足を組み、ハンバーガーを頬張る。
テーブルの上には、雑誌が置かれ、それをやみくもにめくっている。





日曜日。
午後5時。
外は雑踏にあふれ、日曜日らしさを醸し出している。





何の雑誌か覗き見ると、マンションの写真がいっぱい載っている情報誌のようだった。
彼女は気になる物件がないからなのか、目も留めず、ページも飛ばし飛ばしでめくっていく。



すると、彼女はめくる手を止め、バーガーの向きを変え始めた。
かじったところをまたかじるのが嫌なのか、まだかじっていない場所を向け直す。

またかじる

ページをめくる

向け直す

またかじる・・・、

それを繰り返す。




バーガーが食べ終わるに従い、彼女のページをめくるスピードが落ち始め、雑誌を食い入るように見つめ始めた。
食べ終わる時には動きは止まり、ただ一点を食い入るように見つめた。


バーガーを包んでいた包装紙を丁寧に丸める。
雑誌を閉じた・・・・・。





リズムを刻むようにバーガーを食べ、雑誌をめくる。
食べ進むのに合わせて、スピードも変わっていく。
一連の動作に、無駄がない。

女は、一人で食事するこの時間に慣れ、それを楽しんでいるのであろうか。
それとも慣れに侵食されているだけなのであろうか。

顔を見る限り、おいしいともいい物件を探し当てたとも、ここにいることも楽しんでいないかのようだった。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006年9月23日 (土)

深夜・・・、コンビニに行くことにした

深夜にコンビニに行く。




ふと、のどが渇き、お腹がすいたのに気づく。
家には、そんな僕を潤してくれるものはなく、コンビニに行くことにした。


深夜に家に帰ってくることはあっても、家から出かけることは滅多にない。
外の空気は秋にしても涼しく、肺に入る空気は少し冷たかった。


深夜にコンビニに行く、なんだか悪いことをしているかのような、くすぐったい実感。
コンビニに向かう道すがら、そんなことを感じた。
辺りの人は寝静まり、通りは「割増」と表示されたタクシー、家路へと向かう自転車に乗った人が目立つ。
昼の景色とは当たり前だが、明らかに違う。




コンビニに着く。
店に入ると、粗雑に置いたダンボールが何個も置かれていた。
本の売り場には、棚に寄りかかり漫画を読む、ランニング姿の若い男性。
店にいるのは彼と僕を含めて3~4名ほど。
みんな何をするでもなく、店の品を見ては物色している。


僕も周りにならって、食べたいものを選ぶことにした。
パンを手にとってはまた思う。

「夜中に食べるって行為も、悪いことしているみたいだな」
一応、健康を考えてパンのお供のジュースは100%グレープジュースにした。


レジに品物を持っていく。
僕が来たのを見計らって、扉からでてくるアルバイトの男性。
「いらっしゃいませ」の言葉もなく、もくもくとバーコードをスキャナして袋に品物を入れていく。
お金を払い、店を出る。

「ありがとうございましたって言われたかな」
思い出せず、店を後にした。




品物が入った袋を振り回しながら、道を歩く。

「夜だな」
当たり前のことをつぶやく。
誰に確認しなくても、路上には黒々とした夜空が広がっていた。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006年9月20日 (水)

ヤマザキ『ランチパック』を片手に

ヤマザキ『ランチパック』を片手に

暑い日の午後


久々スーツ着用


お昼を食べる時間がなかったので、
駅のホームで、
ヤマザキ『ランチパック・ピーナッツ』
を食べる。

ランチパックなのだから、ランチに食べるのは普通だし、ランチに食べるべきものなのだが、口にして思う。

「なんか侘びしい」

ソフトなパンの食感に、口の中をピーナッツの甘さと香ばしさを感じながら、すぐ前に電車が行きほとんど人のいないホームの上で、ひとりそう思った。

「しかし今日は暑い」

ホームから少し見える青空を見上げる。

2個のうち1個しか食べずバッグにしまい、汗をハンカチで拭いながら電車を待った。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006年9月19日 (火)

二人を見て初々しく思う、とある日の午後

前にも同じようなことを書いたかもしれないが、僕は女の子と男の子が二人でカフェとかレストランにいて、この二人がカップルかそうではないか想像するのが好きなのである。
で、カップルだと断定したら(違うかもしれないが)、二人が距離感を測っているのを見るのも好きなのである。
今日はそんなお話。




先日カフェに行き、トイレ近くで出口に近い席にいると、帰ろうとする女の子と男の子の二人がやってきた。
彼(だと思われる)が
「トイレに行く」と
彼女に言った。
彼女は
「う、うん」
と、ハニカミながらそう言った。




まだ付き合って間がないんだろうな、僕は彼らをみてそう思った。
彼女の反応。
二人でいてトイレに行くのは普通なことだが、彼女はまだ彼の行動を予期できていない。
「彼、トイレ行くだろうな」という、未来を透視するような予期という意味ではなく、
彼が突然自分の意(ここでは『帰る』という意)に反する行動してもすぐ対応できる状態、状況ではまだないということ。
まだ、彼の行動を自分のテリトリーに入れられてないのだ。
(僕の主観的考えだが)


熟練のカップルを見ると、彼らとはやはり違う。
彼が何をしようと自分のペースは乱されないし、何かを問いかけられようが平然といる。
長年一緒にいるのだから当然だが。



彼らがいけないと言っているのではない。

「初々しいな」
外で待つ彼女を見て、そう思う。
これから彼と一生懸命距離感を縮めていく。
その作業はきっとお互い楽しいだろうし、距離感が縮んでもその関係をより一層楽しめるだろう。



彼がトイレから出てきて、二人で並んで一緒に帰る。
手は繋がず、ただ並んで。
「ますます初々しいなあ」





おっと、仕事仕事。
二人の関係を想像して楽しんでしまった。
「僕はますますオヤジだなあ」。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2006年9月18日 (月)

即興グランプリ「エスワン」第7ラウンド




さて、今週木曜日は即興グランプリ「S-1」第7ラウンドです。
残りは、全10ラウンドですので、今回を入れて4ラウンドになりました。
上位のプレイヤー達の点差も詰まり、混戦になってきています。


さて、私は現在1位に7点差の第2位。
今回では、点差を詰める、もしくは奇跡の大逆転をもくろみます。


2位では負けと一緒。

「負けるなら華々しく散ろう、ホトトギス」
りょーちん作


後世にこの俳句が残るかわかりませんが、
「守り」より「攻め」
「無難」より「奇跡」
「セコム」より「エンターテイメント」!!


即興芝居はその場で消えてなくなってしまう儚いものですが、来ていただく皆さんのココロに、大きく何かが残るようないいストーリーを創って行きたいと思います。



さあて、大見得を切ったところで、今回の宣伝。

9月21日木曜日
19時半より(9月1日のライブより時間が変更になりました)
渋谷クロコダイルにて
料金2,000円プラスワンオーダー(10%チャージ別)


詳細は東京コメディストアジェイホームページにて。
お待ちしております。



ご予約はりょーちん、あるいは東京コメディストアジェイまで御連絡ください~。


りょーちん

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年9月17日 (日)

異国の友達と異国の地で再会を誓う

韓国人の友人が一年の日本での研修を終えて帰るという。
普通は逆なのだが、彼の家でご馳走になることになった。




彼との出会いは、僕が参加している国際交流のNPOで。
同い年で気が合い、お茶をしたり食事をしたり、時には韓国語を教えてもらったりと、
楽しい時間を過ごした。
彼と出会ったのが4月。
たった半年の間だったが、韓国と自分との距離がとても近くなる貴重な時間だった。





彼の韓国の友人や、僕の仲間も参加しての、「彼がもてなす」パーティが始まった。
トッポギやキムチ、焼肉などこれでもかと言うくらいのご馳走が出てくる。
「こちらがもてなさなきゃいけないのに」
彼はそんなことを気にせず、もくもくと食べている僕に温かい目を向けながら、いっぱいの料理を作ってくれた。


しかし、おいしかった。
身体が疲れていて食べれないかなあと思っていたが、すいすいとお腹に入っていく。
中でもトッポギは最高で、辛く、口の中をヒーヒーさせながら食べたが、腹に入れるとさらに欲しくなる旨さで、何度も箸を往復させた。





彼は熱い奴だ。
今まで3度ほど、彼の韓国語の指導を受けたが、妥協を許さない。
彼がご馳走をしようとしているときに、僕がいらぬ気遣いをすると、余計な気遣いをするなと怒り出す。
真っすぐ過ぎるくらい、真っすぐな男だ。





数時間の楽しい時間は終わり、彼の家を出る。
彼は部屋を出て、僕らをアパート下まで見送りに来て、僕が振り返すまで手を振ってくれた。
彼に会えるのは後少し。
非常に寂しい。





彼は10月1日に、韓国に旅立つ。
飛行機で2時間の距離だが、お互い仕事を抱え、会うことは暫くはまかりならないだろう。
でも、来年中には、韓国に行こうと思う。
彼に会いに行く。
そこで彼が住む韓国のことをいっぱい知れたらなと思う。
美味しいお店にも連れてってもらおう。
今度はご馳走してあげれればよいが。



半年間ありがとう。
これからもよろしく。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006年9月16日 (土)

下北沢から、「下北沢」に愛をこめて

さて、とうとう引越しをすることになった。

「とうとう」
というのには訳があって、去年の同じ時期にも引越しを決意していたのだ。
その時は、引っ越すタイミングを逸し逃したのだが、今回は不動産会社にも出て行く旨を報告し、実際に物件を探し始めている。


大好きな街にこだわるのが、僕の何よりの部屋を探す上でのポイントだ。
前回住んでいた街、江古田(西武池袋線:練馬区)も、駅を降りて商店街を歩き好きになり、その街に住むことにした。

そして、部屋を探す時のポイントは、自分がこの部屋に住んでいるか想像できるかということ。
「直感」。
これが全て。
前の江古田の部屋も、今の下北沢の部屋も、
「あ、自分がここに住んでいるってイメージできる」
と、部屋に入った瞬間に感じ、その部屋になった。
(もちろん、部屋を隅々チェックはするが)



さあ、今回は、
「下北沢」に留まることになりそうだ。
この街を、ことのほか愛してしまった。
街並み、商店街、カレー屋、定食屋、カフェ・・・・・。

他の街に住んでいる自分を想像できない。
下北沢に住んで、もう5年になるが、まだ飽きないし、まだまだ楽しませてくれる。
こんな街に出会えてほんとによかった。

好きな街に住む。
遊びに行ければいいじゃんという論理もあるが、自分の好きな街に住むことが僕の理想であり現実。
この街をさらに知り、さらに離れられない街になるといいなと思う。



下北沢に愛をこめて。
これからもよろしく。

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2006年9月13日 (水)

出しっぱなしにした菓子が湿気た

雨。


雨が続く。


部屋に出しっぱなしにしていたお菓子が、朝起きたら湿気っていた。
外を見なくても、雨が降っているのだと予想できた。


窓を開けると、細かな雨。
まだ、ザアザアと降ってくれれば爽快な気分になれるのに、音のしないシトシトと降り続く雨は憂鬱にさせる。


湿気たお菓子をつまむ。
軽い食感のお菓子が、噛み切れない甘みが増したお菓子になっていた。
「同じお菓子で2度楽しめた」
封をしまい、台所に片付ける。


洗濯物が溜まっていた。
しばらく雨続きだったし、コインランドリーに行けなかった。
仕事前に片付けようと、小雨降る中向かうことにする。
家にあった壊れかけたビニール傘を開いて。


外に出ると、見えない粒の雨が降っている。
傘をささなくても大丈夫ではないかと思ったが、雨粒を受けずに体がじとっとするのは嫌だから傘をさすことにした。
アスファルトは黒く濡れている。


目の前を傘が歩いていた。
目を凝らしてよく見ると、下に足がついていた。
小さな子が、大きい傘を一生懸命持って歩いているらしい。
追いついてその子を見ると、こっちを一生懸命に見上げてきた。
そしてすぐにその目は進むべき方向に戻り、傘の取っ手を持つ手を強くしていた。


歩幅が違うので、その子とすぐに距離の差ができた。
振り返って、また彼を見ようと思ったが、彼の照れくささをまた見るのも恥ずかしいので見ないことにした。


コインランドリーに着く。
小銭がないので、近くの自動販売機で冷たいミルクティを買った。
温かいのがあればいいのに、そこの自販機にはまだなかった。
まだここには、秋が追いついていないらしい。
洗濯機にコインを投入し、洗濯物を入れ、冷えたミルクティを持って店を出た。
傘をまた開く。


空を見上げた。
「僕の雨の過ごし方はいつも一緒だ」
顔に小雨のシャワーを浴びながら、そう思った。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006年9月12日 (火)

このバームクーヘン屋の名前は何なんだ?

友人と、デパ地下で遊んでいた時のこと・・・





デパ地下は楽しい。
お惣菜やら、主食品やら、お漬け物、お菓子、デザート・・・、何でも揃う。
「うふふ」と顔をほころばせながら、狭い通路を人を掻き分け、彷徨う彷徨う。

店員さんの
「試食だけでもいいからしていきな」
の言葉に、しっかりと立ち止まり、
「おいしいね」
と、お礼代わりのお世辞を言って立ち去るを繰り返す。





とあるお店で美味しそうなバームクーヘンが売っていた。
「むむ」
気になる。普段なら、絶対買わないものだが、ここのバームクーヘンは妙に美味しそうだ。このデパ地下がそういう空気にさせるのか、ただ単に美味しく見えたのか。

「店の名前は・・・」
ドイツ語で読めない。



「一つくださいな」
緑色の可愛い制服を着た若い店員さんがこちらを振り向く。
たった一つのものを丁寧にラッピングしてくださる。
「時間かかるなら、そのままでいいですよ」
そう声をかけたいが、店員さんは一心不乱に紙と格闘している。
とても声をかけられる状態ではないので、見守ることにした。

ラッピングしたものに、さらに紙袋までつけてくれた。
相変わらず、この店の名前は読めない。





紙袋を受け取り、歩きながら友達につぶやくように
「これなんて読むんだろうな」
と言った。
すると、近くにいた他の店のおばさん店員が
「○○○○でございます」
と、自分の店の名前を大きい声で僕に言ってきた。


「へ?」
何が起きたのかすぐに理解ができず、彼女に振り返り軽い会釈し、今の起こった事態を把握しようと務める。

袋に書かれた文字のことを隣にいた友人にぼそっと言ったのに、声が大きかったから近くにいたおばさんが自分の店の名前のことを聞かれたと思って答えてくれちゃったのか。

再度振り向くと、おばさんは試食用の漬け物が入ったタッパーを抱えたまま、こちらをしげしげとみていた。





結局、おばさんの店の名前はわかったが、バームクーヘンの店の名前はわからないままであった。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2006年9月10日 (日)

ダンスのパートナーはスーパーのビニール袋

今日、彼はウキウキだった。
普段見せる妖艶な趣きではなく、彼は飛び跳ね踊り、顔は喜びで蒸気を発していた。
きっと何かがあったに違いない。




下北沢で時々見受けられ、地元でインターネットで「ホットパンツの人」として有名な、ご年配の男性が、ホームにいた。
今日の出で立ちは、いつも並にホットで、女性物のタンクトップに黒のホットパンツを履いていた。
彼との出会いは、自分が通うスポーツジムで、彼はスタジオでエアロビクスを舞い、僕はガラス越しにそれを眺めるところからだった。
その後は何度も街ですれ違い、僕はあなたを知っているけど、あなたは知らないよね状態のままだった。それは今も続く。




その彼が今日、ホームにいた。
誰が見ても彼だとわかる出で立ちで、ホームに立っていた。
いや、立ってはいない。一度も静止することはなく、ただ舞い、ただ飛んでいた。
「何かいいことがあったのだろうか」
手には量販スーパーのビニール袋が握られている。
袋のふくらみから、かなりの量の物を買ったと思われる。

「大好きな人に食べさせたい料理のことを思って踊っているのだろうか」
いいや、
「今日何かいいことがあって、それを体で表現しているのだろうか」

わからない。

僕の思いを打ち消すように、電車が颯爽とホームを駆け抜けていく。

彼は乗り込む。
僕も乗り込む。




同じ車両。
彼を注目しないように務めるが、目が自然と彼の動きを追っている。
彼は電車の中でも動きを止めない。
流れるように、電車の揺れを楽しむように踊っている。



「彼の陽気さを、嬉しさを僕は測りきれない」
彼は僕より先に降り、電車の発進と共に見えなくなっていった。
「何があったのだろうか・・・・・」




「立つ鳥跡を濁さず」
ダンスパートナーはスーパーのビニールの袋。
華麗に舞い、僕らには疑念だけを残し、他に何も残していかなかった。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2006年9月 8日 (金)

とある公園のベンチで隣あう二人

とある公園のベンチにて



コンビニでお弁当を買ってきて、お昼をとる。
空は曇っているが、外でとる食事は、気持ちもおいしくさせる。


すぐ隣に、太めのおばさんが、僕と同じようにコンビニで買ってきたものを広げている。
食べる気満々の一所懸命な顔をして袋を開けている。
否応なく気になり、彼女の食べようとしているものを覗いてみることにした。


「えっと、冷やし中華におにぎり、既に食べ終わったヨーグルト・・・」
何を食べるまでもなく、まずヨーグルトを食べたようである。
いつの間に・・・。
胃に粘膜を張るために、早急に食べたのであろうか。
デザートだと考えていた僕には、既に空いた容器は不意打ちだった(食べる順番は人それぞれなのだから干渉する筋合いは全くないのだが)。


やがて彼女は、冷やし中華を食べながら、おにぎりを開けようとしていた。
僕も自分が食べることに集中したいから、なるべく彼女に注目しないようにいると、
彼女は僕に注意をひいてほしいからなのか、素でやっているのか、おにぎりを持ってバタバタし始めた。
おにぎりに巻いてあるビニールを、己のあらん限りの力を使って引きちぎっているのだ。

「あ、おばさん、いやお姉さん・・・」
左手小指のすぐ隣に、
「ここをひく」
って矢印があるんですけど。
言ってあげようか迷っている数秒のうちに、彼女はビニールをかきむしり終わり、素手でおにぎりを食べ始めた。
ベンチには散らばるビニールの欠片たち・・・。



「・・・・・」
食べ方も人それぞれだしね。干渉するべきではないわな。

うんうん。

自分に強く言い聞かせ、食べ終わった空容器を持ち公園を後にする、僕でした。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

子どもにかき立てられ貪欲になる

僕は貪欲でありたいと思っている。
「知る」という行為に。
そう、強く今日思った。




新潟であった子どもたちのことを思い出した。
彼らは毎日とても耀いていた。


ある日のワークショップでのひとコマ。
「今から、みんなで自己紹介をします。では・・・」
ワークショップリーダーのさとうさんが言い始めると、
私はもう知っているわと、毎回来ている小学3年生の女の子が自分で見本を見せようと
さとうさんの話を割り込んで、
とても小生意気な得意げな顔で、初めて来た同年代の子どもたちに教え始めた。


彼女にとって、「もう知っている」というのはとても自慢できるすごいことで、誇らしいことなのだ。
彼女に負けじと、他の子も「わからない」と言いながらも懸命に「知る」作業をしようとしていく。目はとても耀いていた。






僕は大人になってしまって、「知る」という貪欲より、「知らない」という自分を見せることに恥ずかしさを覚えるようになってしまった。
「知らない」ことは本来恥ずかしいことではないはずなのに、世間体とか周りの目を気にするようになってしまった。


彼らを見ていて、「知る」という作業はとても素晴らしいものだなと再認識した。
自分が本来持っている強い欲求「知りたい」というものを、彼らに負けないよう強く持っていたい。そう思った。




「知るは一時の恥じ、知らぬは一生の恥」
昔の人はいいことを言ったものだ。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006年9月 7日 (木)

天袋を開けたのは誰だ!?

「今日も開いている・・・・・」

押入れの上の天袋が、今日も開いていた。
帰ってくると時々開いている天袋。
僕は開けてはいないのに・・・。

一体、これは・・・。





この家に、何か巨大な生物がいるのだろうか?
(ねずみかしら。そんな力があるのか)
それとも自然現象?
(開いた窓からやってくる強い風に!?)
または、この古い家が耐え切れず、傾いていて天袋が開く?
(この家は築30年くらいだという。傾いているのかもしれん)
夏の夜の怪談話か?
(帰ってきた時気がつくから、昼に起こっていることだと思うが)
もしや、毎日忍び込む泥棒?
(天袋には値もつかないものしか置いていない)





時々起こることに気味が悪くなり、家に帰ってくるときも部屋のドアを開けるのをためらったりもする。
「今日は大丈夫かな。何も起きてないかな」

しかし、期待と予想に反し、天袋が少し開いている。

「ひえ~」

あたりには何もいないし、何も盗られている気配もない。
一体、何が原因なのだろう。
わからない。これは迷宮入りか・・・と思った、今日、原因がわかってしまった。




朝、背広に着替えて出かけようと準備をする。
押入れから、背広を取り出し、天袋を少し開け、ハンガーを天袋のサンにかける。
着替えて、ハンガーを押入れの中に戻す。
出かけようとする。

出かけようとする。

出かけようと・・・・・。



「ひええ~。僕が天袋を開けてたぁ~」
あまりにも何気なく、無意識に開けているものだから、自分で開けていたという自覚は全くなし。
ハンガーにかかっている状態でわざわざ出して着替えるなんて、背広の時以外ないから(月1,2度だし)、これが原因なんて思うこともなかった。

つまり、自分がやったことに一人でおののき、一人でわめいていたのだ。

「はあ・・・。お騒がせさん」





開けた物はきちんと閉める。
鉄則ですな。
はい。反省。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2006年9月 3日 (日)

肉まんをトングで持つ、彼の真意を測り取る

遅い昼飯を食わんとす。
コンビニに行くなり。
時間をかけて何を食おうかと考えた挙句、レジ前にあった肉まんを欲す。
店員に「肉まん一つ」と頼んだところから、物語は始まる・・・。






店員は、肉まんをトングで挟みながら僕にこう言う。

「袋に入れますか?」

財布を出しながら、目が点になる僕。
「袋に入れますか!?」

え、手で直接持って食べろとでも言うのだろうか。
確かにお腹が空いていて、目がマジになっていたかもしれないが、そんなに「肉まんだしたらすぐくれ、すぐ食いたい」状態ではない。
そのまま食べたら手に肉まんの薄い皮がくっつくし、どう見ても表面熱々で手がやけどだろ。
一体どうやって持つんだ。

と、彼の真意を測り損ね、返事ができない状態でいると、
店員は紙袋に入れて、僕を再度見た。

「あ、ビニール袋に入れるかどうかってことね」
ようやく彼が言った真意を把握した。

普通、肉まん持って「袋入れますか」って言われたら、紙袋に入れるかどうかだと思うだろ。僕が疎いのだろうか。そんなことはないはず。



店員さんは、僕の小さな返事を待って、ビニール袋に入れ始めた。
握り締めた小銭を置いて、店を後にする。






「本人は伝えているつもりでいるけど、受け取り手によっては伝わっていないことがあるんだろうな」
店を出たところで、自分のことに置き換えて反芻する。
僕も気をつけなくてはと思う、コンビニでの出来事だった。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006年9月 2日 (土)

9月1日、東京コメディストアジェイ2周年!!

9月に入った途端、秋がさらに近くなりました。
1日は防災の日。
一昨日、大きな地震がありましたね。
僕はカフェに(いつもいますね)いました。

地震があった瞬間、あまりの揺れにびっくりしたのですが、建物ではなく隣や周りにいた人を見ていました。職業病ですかね・・・。
隣にいたおじいさんは僕に
「明日、9月1日だからかな」
と、不吉にも似た、おじいさんが言うと洒落にならないようなことをまじめな顔して言われました。
9月1日、何もなくてよかったです。





昨日は僕が参加している東京コメディストアジェイのライブの日。

なんと、今月で2周年を向かえ、「2周年記念ライブ」を行ないました。



「2年」
「730日」
あっという間だったような、長かったような。
あるポイントで見るとあっという間でしたし、違うポイントで見ると長く感じます。
時間ておかしなものですね。



2年間いろいろなことがありました。
ライブ会場を2度も移動することになったり、頭を怪我したり・・・・・。
どれもこれも・・・、いい思い出です(^_^;)。



こうして2周年を迎えられたのは、ひとえに見に来てくださったお客さん、応援してくださったお客さんのおかげです。
「本当にありがとうございました」


2周年で終わりでなく(もちろん)、これから3年目を迎えます。
「防災」ならぬ、東京コメディストアジェイを守ってさらに攻めていくよう頑張ります。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします。




次回ライブは「即興グランプリエスワン 第7ラウンド」です。
こちらも後半戦に入り、佳境を迎えました。
僕は現在第2位。こちらは守るつもりはさらさらございません。さらに上を目指します。
応援をどうぞよろしくお願いいたします。

9月21日木曜日。
時間は7時30分からに変更になりました。
詳細は東京コメディストアジェイホームページにて。

お待ちしております~。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

« 2006年8月 | トップページ | 2006年10月 »