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2006年12月28日 (木)

雨の中。ほんのり温かいたこ焼き。

前回のブログの流れで・・・

雨がやむことを教えてくれた、たこ焼き屋さんのお話。




僕がよく行く、このたこ焼き屋。
いつも店の前には多くの人が並んでいる。

この店の売りは、たこ焼きのおいしさ。
周りはかりっと焼き上げられていて、中はとろっとジューシー。
値段もすごくお手ごろで、並んでいる人をみては、
「そうだよね。並ぶよね。食べたいよね」
と、同感するのである。


ただ、ここの売りはおいしさだけではない。
ご主人の人柄である。

この店はご夫婦で経営されていて、狭い店の中で二人並んで仕事をしている。
ご主人は、客が買う出窓の前に立ち、客の対応をしながら器用にたこ焼きをまわしながら、パックにたこ焼きを詰める。
奥さんは隣で、たこ焼きの材料を鉄板に流し込むなど、たこ焼きになる最初の部分を担当している。





僕が買ったその日は大雨で、僕の前には一人のお客さんしかいなかった。
東京コメディストアジェイの忘年会に是非このたこ焼きを持っていきたかった僕は、

「ラッキー」

と、店が指定する所定の位置に立ち、待った。



僕の前の、黄色いヘルメットに青いビニール合羽を着た工事関係の人が買い終わり、
出窓の前に行き、ご主人に声をかける。

「15個入りを・・・」

「はいよ」

ご主人は僕に笑みをかけ、くしで器用にクルクルと回転させている。
奥さんは黙々とタコを一つずつ、まだ生の具材の中に入れていた。




「雨すごいね~」
ご主人は手を動かしながら僕に言う。

「そうですね。参りましたね」
僕はなるべく濡れないよう、出窓につく屋根の下に身を縮めた。



「夜には雨止むって言ってたよ。さっきラジオ聞いていたら」
雨は勢いを増すばかりである。

「あ、そうですか」
気のない返事で返してしまった。



奥さんは黙々と作業を続けている。



「全部つけちゃっていいんだよね」
「はい」
いつものやり取り。
タッパに詰められたたこ焼きの上に、ソースが塗られ、青海苔、鰹節、マヨネーズがかけられる。


「どのくらい持ち歩くの」
「20分くらいですかね。電車乗っていくんです」
「ほんとはすぐに食べたほうが美味しいんだけどね。レンジで温めないほうがいいよ。このままで十分温かいから」
ご主人は、袋を二重にしてくれながら、僕にそう言った。

「これで匂いも漏れないから」




「はい。お待たせ」
ご主人は、目をきらきらさせながら、僕にたこ焼きを手渡してくれた。

「ありがとうね」
お金を受け取りながら、笑みは崩さない。



傘をさし直し、店を出る。
僕の後ろに並ぶ人は誰もいなかった。

温かいたこ焼きを手にぶら下げながら、冷たい雨の中、駅まで向かった。

雨の中でも、買いに来てよかった。






次の日、見事に雨はやんだ。

また買いに行こう。今度は自分用で。

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コメント

りょうちんさんの日記を読んで、自分も…
最近コンビニやスーパーで買い物を手早く済ますことが多くて
お店の方と会話を楽しむことが少なくなってきたな~って。
魅力のある店員さんとの会話はプライスレスですよね。

投稿: riri | 2006年12月29日 (金) 05時58分

>ririさん

ほんとですね。

コンビにとかお店に行って、対応のいい店員さんや愛想のいい店員さんだったら、買い物した事以上にうれしくなりますものね。

そういうお店を選んで通ってしまいます。

投稿: りょーちん | 2006年12月30日 (土) 13時56分

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