« 総武線飯田橋駅 | トップページ | 道草 »

2007年1月26日 (金)

これは、あるべき虚構のお話です

「僕は何をしたいのだろう?」
朽ちかけたアパートの一室でそう自分に問いかけた。



アパートも崩れ落ちそうなら自分も崩れかけそうである。
さっきからトラックが通る度に、まるで地震でも起きたかのように部屋が揺れる。
今日はいつもよりトラックの往来が多い。

「気持ちが落ちているからそう感じるのか?」
そうかもしれない。
さっきから頭の中で、あっちにいったりこっちにいったりしている。
たどり着く先は全く見えない。



昨日彼女に振られた。もとい、元彼女になった。
あれほど好きだと言ってくれたのに、ずっと一緒だよって言ってくれたのに、そんなことは始めからなかったかのように、あっという間に簡単に関係は終わった。

終わりぐらいせめてカッコ良くと、去り行く背を彼女に見せながら、一度も後ろを振り返らなかった。
女々しい僕の唯一の抵抗であり、負けじゃないんだと自分に確認するためだった。
前をただ見据えた僕は、今までの彼女との距離をさらに深く遠く感じて、部屋に到着した。

「こんなに遠くなってしまったんだな」
彼女がいない未来を思うと心がカスカスになった。



一日、部屋にじっとしている。
恋愛という生きがいが終わった僕は、ふぬけであり生きる価値も目的もないただの物体であった。

自分で自分に問いかける時間がただただ進んだ。

「彼女と出会ったことはいったいなんだったんだろう。付き合ったこの時間はいったいなんだったんだろう」
このときの僕は、元彼女との時間がいかに今の自分を成長させていたか、この別れがどれだけ自分を強くさせたか、この堂々巡りの不毛な時間がどれだけ無意味なものだったか、まだ知らない。



外に出ることにした。
6畳の部屋は、今の僕には圧迫感が強く、耐えられなかった。
ちまたはワールドカップだと全ての人が浮かれているように見えた。
僕だけがただ街の中で縮こまった小さな虫みたいに見えて、とても悲しくなった。

僕は悲しくなると、ココアを飲む。
ココアがとても好きだ。
甘く温かい液体が、口から入り喉を通り、体も心も温めてくれる。
いつも行くカフェに入り、
「ココア」
と、いつもより小さい声で注文した。
店員さんがいつもより冷たく感じた。

そして、ココアはとてもぬるかった。



カフェを出る。
店に入る時は明るかった空が、もう暗く冷たい色になっていた。

「どうしよっかな」
何もする事ないなら部屋に戻ればいいのだが、誰もいない部屋に帰るのをためらう僕がいた。

僕はただ、人を見た。
歩く人、笑う人、しゃべる人、ショッピングする人・・・。
彼らの楽しそうな空気をただただ近くで感じていたくて、ただただ歩いた。
そして、隣にいない人のことを考えて悲しくなった。



部屋に戻る。
戻りたくはなかったのだが、いつの間にか部屋の前に立っていた。

何も変わらない部屋。
変わってしまった僕。

「僕の何がいけなかったのだろう」
部屋は何も答えてはくれない。

「これからどうしよう」
僕は彼女に自分の全てをかけていた。
恋愛に全てをかけていた。
それがなくなった今、自分の存在意義がなくなったかのように、自分を見失っていた。



テレビをつける。
サッカー解説者が番組に出て、ワールドカップの優勝予想をしている。

「僕は日本」
何故か、強く、日本に勝ってもらいたい、そう思った。













これは虚構であり、ある意味昔の僕の話でもあります。

りょーちん

|

« 総武線飯田橋駅 | トップページ | 道草 »

コメント

うおう。ビックリした・・・

投稿: yuhki | 2007年1月26日 (金) 23時35分

誰にでもいろんな恋愛の思い出があるんだね。
改めて感じました。

大好きだった人、忘れられなくて辛くて淋しくてどうしようもなかったけど、確かに今の自分の力になってる気がする。

人を好きになるってなんかいいね。

投稿: みゆ | 2007年1月27日 (土) 00時04分

それで、結局そのお別れはりょーちんさんにとってよかったのかな。
↑人を好きになるっていいけど…
たぶん、こんな風になることが嫌で、人をそこまで好きになれません…

投稿: さいちゃん | 2007年1月27日 (土) 00時14分

>yuhkiさん

ごめんね。驚かせちゃって・・・。

昔昔の等身大の自分を思い出しながら、書いてみました。
虚構の話なんだけど、自分に近い話になっちゃったなあ。

こんな恋もしてきました。

投稿: りょーちん | 2007年1月27日 (土) 02時49分

>みゆさん

うん。
人を好きになるっていいです。
「好き」というのは、非常にパワーを使うことだし、大変だけど、自分であることのモチベーションを上げたり、幸せにしてくれたり、とてもいいものです。

ただ、その恋愛に依存しすぎちゃ駄目だということを失敗から学びました。

投稿: りょーちん | 2007年1月27日 (土) 02時51分

>さいちゃんさん

実際にこれに近い別れをしたのだけど(というかほとんど実話に近いなこれ)、とてもよかったですよ。
僕は前にも書いたけど、依存していた。恋愛にも彼女にも。これはマイナスな部分付き合い方でしかなく、二人でプラスになっていこうという付き合い方じゃなかった。
「寂しいから一緒にいよう」という付き合い方だった。

「楽しいから一緒にいよう」じゃないと、いい付き合い方はできない。

付き合っていれば、別れはいずれ訪れるかもしれない。
でも、その別れを恐がって心配して付き合っていたら、それは楽しめないし、幸せにも感じられない。


僕の師匠に教わった言葉
「心配するな。気をつけろ」
相手を気にしてあげたり、感謝したりすることは必要。
でも、これからのことや、結末のことを心配してもしょうがない。
今が楽しければそれでいいじゃない。
そうだから付き合いたいし、付き合っていたいんだから。

投稿: りょーちん | 2007年1月27日 (土) 02時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/34181/5078670

この記事へのトラックバック一覧です: これは、あるべき虚構のお話です:

» マンスリーレオパレス・マンション [マンスリーレオパレス・マンション]
マンスリーレオパレス・マンション [続きを読む]

受信: 2007年1月30日 (火) 01時30分

» 出会い系サイトで真面目に彼女を見つけた体験記 [出会い系サイト攻略]
真面目目的で彼女を作る出会い系サイトの体験談(苦労話?)を書いています。 よかったら立ち寄ってみて下さい(^_^ [続きを読む]

受信: 2007年2月10日 (土) 19時21分

« 総武線飯田橋駅 | トップページ | 道草 »