2007年2月10日 (土)

体がポカポカになるのには訳がある

「風邪ひいている時に舐めると、すごく辛く感じるんだ」
と、苦々しい顔をしながら年配の男性店員はそう言った。





先日、新宿にある東急ハンズに、食器を買いに出かけた。
売り場に着くと、入り口で店頭販売をしている年配の男性がいた。
彼が売っていたのは、生姜湯に生姜飴。
冷え性である僕としては、「生姜」という言葉に敏感だったため、足を止めておじさんの話に耳を傾けた。

「どうぞ、生姜湯試していって」

おじさんは小さい紙コップに入った生姜湯を僕に勧める。
疑心暗鬼でどろどろとしたその液体を飲み干すと、体がどんどんぽかぽかとしてきた。

「すご~い」

と、おじさんに飛びっきりの笑みを見せると、
おじさんは

「飴も試してみるかい」
と、生姜湯について書かれた大きいパネルの後ろから、袋に入った飴を取り出してきてくれた。
飴を口に入れる。

と、冒頭の言葉、
「風邪をひいている時に舐めると、辛く感じるんだ」
と僕に言った。



辛くない。
風邪をひいていたのに。

「甘いです」

「じゃ、大丈夫だ」

大丈夫らしい。
なんだかおじさんに言われると大丈夫な気がしてきた。

「これ、冷え性な人が舐めるとぽかぽかしてくるからね。女性にはお勧めだよ」
僕は男性ですが冷え性です。



しかし、この飴は良さそうだ。
購入しようと決意する。

「おじさ・・・」



「これ持っていきなよ」
と、僕の話を切ったおじさんは突然、先ほどのパネルの裏から、粉の入った大きな袋を取り出した。

「これは業務ようなんだけど、これ少し分けてあげるから、ヨーグルトに入れて食べな。
ヨーグルトは一日100gしか食べちゃダメだよ。おじさんはプレーンのヨーグルトを食べれないんだけどね」
聞いていないことまでいっぱいしゃべってくれる。

小さな袋に粉を入れてくれて僕に渡してくれた。

「これはあくまで業務用なんだ」
と、業務用だと、何度も同じ言葉を繰り返した。
特別なことをしてくれていると言ってくれているのだろうか。



「あの飴がほしいんですけど」
危うく、買おうとしていたのに何も買えずに返されるところだった。

「あ・・・、はいよ」
おじさんは顔を崩して僕に飴を手渡してくれた。

一緒に、
「これ、生姜紅茶と生姜ヨーグルトの作り方が書いてあるから」
と、作り方が書かれた紙を渡してくれた。






生姜湯、生姜飴を一生懸命売るおじさん。

その熱さで体がぽかぽかになって、騙されて買っちゃったかなと思った僕であった。

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2007年1月18日 (木)

徐々に秘密が明らかにされていく

僕が電車に乗り込むと、後ろから、女子高生の集団が乗り込んできた。
そこでドアが閉まる。




夕方。

学校帰り、会社帰りの人を乗せ、電車はほぼ満杯である。

僕の隣の女子高生の集団は、皆、背が高い。

「うちの近くにある高校のバレー部の人かな」
なんて推測する。




各駅停車は、次の駅に停車する。




すると、集団の中の一人が、外を見て、
「ねえ、あそこ、ホームの上にいるオンナの人。ジャンプしてた」
と、周りの女の子に言う。

他の女の子はドア越しに外を眺める。

「おかしくない~?ジャンプしそうもない人だよ」

清楚な感じの後姿は、僕が見てもそんな行動をとらないような人だった。

「もう一回ジャンプしてくれないかな」
何故かお祈りポーズをとる、見たと公言する女子高生。

「だって、腿上げするようにジャンプしたんだよ。おもろいわ~」




腿上げ・・・。

あんたたち、バレー部に決定。




各駅停車は駅を離れる。




「おなかいっぱいだわ」
また違う女子が言う。

あたりは何故か揚げ物の匂いが漂う。
何だろう、女子高生のあたりから何故か匂う。
さっきからずっと気になっていた。

「あのから揚げ弁当、おいしかったよね」




から揚げ弁当・・・。

あんたたちだったのね。了解。




各駅停車は次の駅に止まる。
乗り換えるために、降りる。
女子高生たちも降りる。

他の線のホームへ移動する。
そしてホームに立つ。
何故か、隣にあの女子高生集団もいる。

違う車両に乗り込もうと、立つ場所を少し移動した。

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2007年1月15日 (月)

自分で自分にルールを課す

夕食。

レストランにて。

隣で家族連れがご飯を食べている。
その後食べ終わり、お父さんはタバコを、お母さんは食後のコーヒーを、男の子はデザートのケーキを食べていた。
そのケーキは、皿の上に載せられて、ケーキの周りには生クリームが添えられていた。

その生クリームを、男の子は丁寧にフォークで薄くすくって食べる。
生クリームが食べ終わることを嫌がるように、それをいとおしむかのように食べる。

その姿がとてもかわいらしく、自分もそんなことがあったなと、懐かしんだ。





「自分にルールを作る」





ポッキーを食べる時、一本一本、まずチョコレート部分を舐めて全部食べ、プリッツ状態にしてからそれを食べる。

ヤクルトは一本の量が少ないから、蓋の真ん中に爪楊枝で小さい穴を開けて、吸うように飲む。

細長いクッキー生地の真ん中の溝にチョコレートが挟まっている、ブルボンの菓子。
まず、クッキー生地を前歯でカリカリと食べ、チョコレートだけを残し、それを後で食べる。

などなど。






小さい頃はお菓子を食べるということは、大イベントだったから、それを一つ一つ楽しむように遊びながら、食べていた。

自分でルールを作り、時には
「負けたぁ~」
と自分で自分をいさめ、

「勝ったぁ~」
と、自分を持ち上げていた。

何でも遊び道具だったし、何でも楽しかったのだ。







男の子はケーキを全部食べ終えたようだ。
隣で無言でそれぞれの空間にいる両親は、それを見計らって席を立った。

僕はスパゲティの麺を巻き取るのに無我夢中でいた。


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2007年1月11日 (木)

小さな窓から、大通りを伺う女性

タバコ屋のお姉さんの化粧が濃かった。




通りかかったタバコ屋を覗くと、茶髪の僕より年上のお姉さんが座っていた。
せわしなく座っていた。

お姉さんの顔を見ると、化粧がとても濃かった。




それは、お客さんに接する職業だからいつものことなのか、
それとも
好きな人に見せる特別なことなのか・・・。




僕は毎日ここを通りかかるわけではないので、推し量れないが、
例え、前者であろうと後者であろうと、ただ濃くなってしまったからであろうと、

「美」

を意識して座っているというのはいいことだと思った。





かくいう僕は、化粧っけのない子のが好きだったりするが・・・。

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2006年12月30日 (土)

まるで夕焼け空のような笑顔

まるで夕焼け空のような笑顔

新幹線から降り改札口に行くと、そこには年配の男性や女性など老若男女の人たちが待っていました。

みんな、電車から降りてくる子供や彼氏や彼女、家族を待ち構えていたのです。

娘に気がついたのか、頬を緩めるお父さん。目をキョロキョロさせている年配のご夫婦。

とてもとてもいい光景でした。






迎えに来てくれた親の車から撮った、夕焼け空の写真です。

空は雄大です。

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2006年12月28日 (木)

雨の中。ほんのり温かいたこ焼き。

前回のブログの流れで・・・

雨がやむことを教えてくれた、たこ焼き屋さんのお話。




僕がよく行く、このたこ焼き屋。
いつも店の前には多くの人が並んでいる。

この店の売りは、たこ焼きのおいしさ。
周りはかりっと焼き上げられていて、中はとろっとジューシー。
値段もすごくお手ごろで、並んでいる人をみては、
「そうだよね。並ぶよね。食べたいよね」
と、同感するのである。


ただ、ここの売りはおいしさだけではない。
ご主人の人柄である。

この店はご夫婦で経営されていて、狭い店の中で二人並んで仕事をしている。
ご主人は、客が買う出窓の前に立ち、客の対応をしながら器用にたこ焼きをまわしながら、パックにたこ焼きを詰める。
奥さんは隣で、たこ焼きの材料を鉄板に流し込むなど、たこ焼きになる最初の部分を担当している。





僕が買ったその日は大雨で、僕の前には一人のお客さんしかいなかった。
東京コメディストアジェイの忘年会に是非このたこ焼きを持っていきたかった僕は、

「ラッキー」

と、店が指定する所定の位置に立ち、待った。



僕の前の、黄色いヘルメットに青いビニール合羽を着た工事関係の人が買い終わり、
出窓の前に行き、ご主人に声をかける。

「15個入りを・・・」

「はいよ」

ご主人は僕に笑みをかけ、くしで器用にクルクルと回転させている。
奥さんは黙々とタコを一つずつ、まだ生の具材の中に入れていた。




「雨すごいね~」
ご主人は手を動かしながら僕に言う。

「そうですね。参りましたね」
僕はなるべく濡れないよう、出窓につく屋根の下に身を縮めた。



「夜には雨止むって言ってたよ。さっきラジオ聞いていたら」
雨は勢いを増すばかりである。

「あ、そうですか」
気のない返事で返してしまった。



奥さんは黙々と作業を続けている。



「全部つけちゃっていいんだよね」
「はい」
いつものやり取り。
タッパに詰められたたこ焼きの上に、ソースが塗られ、青海苔、鰹節、マヨネーズがかけられる。


「どのくらい持ち歩くの」
「20分くらいですかね。電車乗っていくんです」
「ほんとはすぐに食べたほうが美味しいんだけどね。レンジで温めないほうがいいよ。このままで十分温かいから」
ご主人は、袋を二重にしてくれながら、僕にそう言った。

「これで匂いも漏れないから」




「はい。お待たせ」
ご主人は、目をきらきらさせながら、僕にたこ焼きを手渡してくれた。

「ありがとうね」
お金を受け取りながら、笑みは崩さない。



傘をさし直し、店を出る。
僕の後ろに並ぶ人は誰もいなかった。

温かいたこ焼きを手にぶら下げながら、冷たい雨の中、駅まで向かった。

雨の中でも、買いに来てよかった。






次の日、見事に雨はやんだ。

また買いに行こう。今度は自分用で。

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2006年12月20日 (水)

隣の女子高生は何歌う人ぞ

隣の女子高生は歌っている。



店内に流れる、流行りのJpop。

それに合わせて、隣の女子高生二人は歌う。歌う。

店の中であることはお構いなしだ。隣の僕もお構いなしだ。

僕は新商品のバーガーを戸惑いながら口に入れる。



女子高生は、テスト勉強で参考書を広げながら歌う。うまく歌う。



「うまいからいいっか」

そういう問題ではないけれど、食べている、どっから食べていいかわからないバーガーと、ポテトと煮詰まったコーヒーが冷めてしまうからよしとしよう。

「冷めてしまうから、よしとしよう」




流れる歌が変わると女子高生の歌は止まった。

「人間ジュークボックスか」

冷めたポテトを右手でつまみながら、左手で持つコーヒーで流しながらそう思った。

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2006年12月12日 (火)

もどかしい時間はまだまだ続く

「俺に貸してみ」

僕は、そう彼女に言いたかった。







カフェにてお茶をする。
甘い気分になりたかったのと、甘い物を取りたかったのとで、カフェモカを頼んだ。

隣には若い女の子がひとり座る。
彼女はカフェラテを飲んでいるようだった。





僕が熱いカフェモカを啜っていると、彼女はバックから急に何かを思い出したかのようにバックをあさり、家電量販店の紙袋を取り出した。
さらに、その中から買ってきたであろう物を取り出し、パッケージをはがし始めた。


僕は熱いカフェモカを啜る。


彼女が買った物は、Nintendo DS用のカバーらしく、自分のと思われるDSを取り出して、カバーを取り付け始めた。


しかし、彼女の思う通りにはいかない。
なかなか取り付けられないのだ。もどかしい。
どんなにあちこち引っ張っても、要領が悪いのか、説明書通りに事を運んでいないのかうまくいかないのだ。


バックから説明書を取り出しては、何回も読み直し、取り付けることを挑む。
しかし、うまくいかない、を繰り返す。


カフェモカを啜る(だんだん熱さに慣れてきた)僕も、彼女の動きにもどかしさを覚えるようになってくる。







「俺に貸してみ」
口から何度出そうになったか。

もし、彼女が僕の彼女だったら、もしくは友達だったら、簡単にこの言葉がでていて、取り付けてあげたであろう。
しかし、僕は隣でカフェモカをただ啜る、通りがかりの男。
なかなか声をかけづらいものを感じる。



でも・・・、もどかしい。



「俺に・・・」








彼女はバックにDSと取り付け途中のカバーを、そのままバックにしまってしまった。

もう、DSに触ることも、話題に触れることもできない。







彼女は何事もなかったかのように、カフェラテを啜る。

僕も、カフェモカを啜る(もう、余裕で飲める)。







もどかしさは残りつつ、カフェの時間はまだまだ続く。

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2006年12月 9日 (土)

電車の中で思いは巡る、巡る。

電車の中で…

雨の日だからか、電車は遅れた挙げ句、中は人でごった返していた。

「参ったなあ」
とは思いながらも、次の電車までは間があり、乗り込むことにした。

目的地までの時間、ぼぉっとすることにした(意図がそれほど入っていたわけではないが)。

と、その思いを遮りように、目の前に座っていた目がクリクリして、眉毛をゲジゲジにした男の子が急に立ち上がって辺りを見渡し始めた。

僕は気になり彼をしげしげ眺めると、隣にいた同じように目をクリクリさせ、眉毛をゲジゲジにしたおばさんがこちらを睨んできた。

「う、似てる」
声には出さなかったが、遺伝子の強さと、雨の日に二人でお出かけする光景に、とても微笑ましくなった。

そして、前にブログで書いた
「同じ野球帽をかぶる親子」
のことも思い出した。

「いいなあ。親子って」
そういえば、今日、親父とお袋と亡くなった祖母と一緒に、何故かパチンコ屋に行く夢を見たなあ。

そんなことをぼぉっと考えた。

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2006年11月29日 (水)

「2」と「3」の異なるカテゴリー

改札を出て階段を下ると、高架下に出る。
そこは一本の長いアーケード街になっていて、お店が数件並んでいる。


僕は稽古へとその長い通りを早足で歩きながら、対面してくる人の顔をいつものように眺めていた。
ただし、いつもとは違う視点が今日は気になり、それを追っていた。


僕に対面してくる人たちは、二人組だったり、三人組だったり、もしくは一人で歩いていたりする。

一人の人は、大抵、前をただ見据え、駅へ行く目的をただ果たさんために歩いている。

二人組の人たちは、大抵、横に並んで歩き、おしゃべりを楽しみながら歩いている。




問題は三人組の人たちだった。
彼らも二人組の人たち同様、横に三人並んで歩くのだが、三人で上手く会話を楽しめていない状態で歩いている気がしたのだ。
真ん中と左隣の人と二人で、もしくは真ん中と右隣の人と二人だけで会話をしていて、一人は浮いてしまっている状態だった。



中には、左と右の人が話していて、真ん中の人が会話に入っていないところもあった。
特にその真ん中のいる人が、とても大変そうであった。

右の人、左の人にも気を使いながらも、二人は真ん中にいる人を気にせず、二人でしゃべっている。
三人で横に並んで歩いているから、真ん中の人は一歩下がるわけにもいかず、場所を変わってあげるほどの気遣いもコントロールもできず、歩く流れのまま一列になってただ歩いている。
言葉は自分の顔の前を飛び交い、自分はどちらを向いたらいいのかわからず、ただ前をすまなそうに見つめ歩いている。






「3という数字は難しいな」
一列で並んで歩いて喋っているからこそ難しい、このコミュニケーション。
自分も経験あるから、見ていて切なくなる、通りの出来事でした。

まあ、一時だけのことではありますが。

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